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【マンガで楽しむ出雲神話】白兎神社・出雲大社に纏わる噺し『因幡の白兎』

2020.07.08

  • 【マンガで楽しむ出雲神話】白兎神社・出雲大社に纏わる噺し『因幡の白兎』
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あらすじ

出雲王国第5代大王には沢山の子どもがいた。主人公である末っ子オオクニヌシは子供の頃より兄たちに虐められてもめげずに宮殿の外で人助けをし宮中では部下に優しい質実剛健な子供だった。オオクニヌシが青年に育ったある日、大王が世継ぎ話をしてからさらに迫害されるようになる。ここからオオクニヌシ伝説の冒険譚が始まる。

 

≪白兎との出会い≫

大王の世継ぎ条件とは大王たる器になることだった。そこで、ヤソ神(ヤソ・・八十。いっぱい、沢山いる、の意)と呼ばれた兄たちは出雲より東にあるヤガミ地方の姫が美しいと評判だったので結婚に成功したら評価されるかもしれないと考え用意を整え求婚の旅へ出かけることにした。後日、オオクニヌシを強制参加させた彼らは、ヤガミ姫が待つ因幡の国へ旅立つが、オオクニヌシは兄たちの献上品を持たせられたまま鳥取砂丘まで着いてこいと言われてしまう。しかし、末弟だからと従いとうとう因幡の国へやって来た・・。

 

因幡へ入国して程なくすると、海岸で血だらけの兎と出会う。オオクニヌシはその兎に血だらけとなり泣いている理由を問うと、オキノ島からここまで渡るために嘘をついてサメの背中を足場にしたが、嘘であることがバレ仕返しされ血だらけになった。しかも、苦しんでいるところに先行していた兄神たちと出会ったので、助けてほしいとお願いしたら、彼らに治療法を聞いたが余計に傷が広がり今に至る、と答えた。

オオクニヌシは兎がサメを騙したことを諫めたが、兄たちの所業はもっと悪いことであり同族嫌悪の念と人助けの気持ちから、素肌を真水で清め蒲の穂を塗る治療法を教えた。しばらくして完治した兎は、赤裸から白兎へと元の体に治ったのでオオクニヌシを命の恩人だと言いお礼を言って去っていった。

 

≪焼死からの生還≫

とっくにヤガミ姫の宮殿に到着した兄神たちは、献上品を差し出し求婚するも姫に悉く断られた。姫は一言「最後に来るオオクニヌシと結婚する。あなた方とは結婚しない。即刻帰ってほしい」と断言した。実は、白兎は宮中に努める部下が変身した姿であり婿を見極めるために海岸で待ち構えていたのだった。

仕方なく踵を返した兄神たちだが、メンツを潰されプライドも傷ついた黒幕のアカヤヒコは怒りに怒り、試されたことは知らずとも断られた怒りの矛先をオオクニヌシに向ける・・。

 

やっとの思いでヤガミ地方の近くまでやって来たオオクニヌシは、ちょうど兄神たちと遭遇する。オオクニヌシは兄神たちもヤガミ姫の宮殿に到着していないか問うと、「そうだ。そなたを待っていた。一緒に参ろうぞ。今、献上品としての狩り物を探していた。ちょうどこの山には赤い猪がいるようだ。一緒に捕えようぞ」と答える。オオクニヌシは喜び狩りを手伝うことに決めたが・・。

兄神たちの指示に従い坂下へと移動し、暫くすると兄神たちから「今、赤い猪がそっちに向かったぞ!早く仕留めろ!」と聞いたため構えていたところ、轟轟と燃え盛る焼けた大岩が疾風のごとく転げ落ちて来たためなすすべもなく焼き殺されてしまった・・それを確認した兄神たちはほくそ笑みながら出雲へと帰っていった。

 

時は少し遡り、オオクニヌシの母親であるサシクニワカ姫は虫の知らせでオオクニヌシが異母兄たちに命を狙われているかもしれないという嫌な予感がしていたので従者を連れオオクニヌシを追って因幡の国へ入国していた。その道中とても不思議なカラスと出会いオオクニヌシが事件に巻き込まれていることを教わる。ヤタガラスに従い、事故現場にやって来たサシクニワカ姫は我が子の変わり果てた姿を見て愕然とするが、秘術と秘薬と助っ人の協力によりオオクニヌシを蘇らせた。

 

≪ヤガミ姫との結婚≫

オオクニヌシは、殺され生還を果たしたが事の発端である求婚話は完遂していないという理由で母親の静止を振り分けてヤガミ姫のもとへ歩を進めた。母親は呆れたが頼もしさも感じ蔭ながら見守ることにする・・・兄神たちの献上品を背負いやっとの思いで辿り着いたオオクニヌシは宮殿の宮女にヤガミ姫に合いに来た者だと挿げる。事前に報告を受けていたヤガミ姫は登場したオオクニヌシの人柄に惚れていたため出逢って間もなくオオクニヌシと結婚した。そして二人はしばらくヤガミの里に滞在し仲睦ましく暮らした。

 

≪圧死からの生還≫

それから暫くの時が経つ。出雲の国ではオオクニヌシが里帰りすると聞いたアカヤヒコたちは殺気立ちまたもや謀を企てる。里帰りしたオオクニヌシは樵仕事に誘われ仕事場の山奥に行く。兄神たちは、言葉巧みに罠を張った場所へオオクニヌシを誘導し合図をもって大木の下敷きにしてしまう・・。

 

帰郷した日から嫌な予感がしていた母親サシクニワカ姫はまたも虫の知らせを感じオオクニヌシを探せば、宮殿の近くの森で虫の息のオオクニヌシを見つける。泣き崩れるが気丈にも秘薬を使い生き返らせる。しかし、迫害され2度も殺されたことに出雲を出国し遠くへ逃がすことを提案する。オオクニヌシはヤガミ姫が心残りだが母親の言うことを聞きどこかへ亡命することを選んだ。母親は、古い友人のキノ国にいるオオヤビコ様の元に行けと助言をする。オオクニヌシはその日の夜人知れず亡命した。

 

≪ネノカタス国訪問≫

オオヤビコは、スサノオ様の実子で出雲大王の友人。迫害から逃れて来訪したオオクニヌシを庇い匿う。しかし、平和な時も束の間、すぐに追手がキノ国にやってくる。しかし、機転を利かし逃してやり、スサノオ様を頼って黄泉の国(ネノカタス国)へ行けと助言をする。

険しい黄泉の国にやっとの思いで訪れたオオクニヌシは、宮殿へ通されスサノオ様と愛娘のスセリ姫に謁見する。事情を話し滞在を許可されるが、着いた初日にオオクニヌシはとんでもない事態に巻き込まれることになる。

 

≪スサノオの試練とスセリ姫との結婚≫

一筋縄ではいかないスサノオ様は、自身の築いた出雲王国を託せるに足る器かどうか試すため大王たる力を示すための4つの試練を与えようと考えていた・・・。

 

亡命初日の夜、オオクニヌシは蛇の間と呼ばれる寝室に通されるが、そこは蟲毒で閉じ込められることになる。しかし、オオクニヌシに一目惚れしたスセリ姫は「蛇のヒレ」と呼ばれる羽衣をオオクニヌシに貸し襲われたらヒレを使えと助言する。そのおかげで無事蟲毒から生還を果たすことができた。翌朝、謁見の間でオオクニヌシが何事もない様子なのでスサノオ様は不思議に思い懲りていないことを察し第2試練を与えることにする・・・。

 

訪問2日目の夜に、オオクニヌシはまたしても蟲毒の間に閉じ込められる。今度は百足と蜂がウヨウヨいる部屋に通されたが、スセリ姫がまたもや特別な羽衣を貸してくれたおかげで無事生還を果たすことができた。3日目の朝、謁見の間でオオクニヌシは只者ではないことを察したスサノオ様は見極めるために狩りへと誘う。スサノオの火矢と呼ばれる試練が待ち受けているとも知らずにオオクニヌシはその狩りへと付いていくが・・・。

 

3日目の日中、茨の原に来たスサノオ様は弓矢を探してこいとオオクニヌシに言いつけ、見えなくなるまで遠くに飛矢を放つ。オオクニヌシは茨の棘で傷だらけになりながらも一生懸命探すが全く見つからない。暫く探すうちに辺りが真っ赤になっていることに気づく。熱く感じ不思議に思い周囲を見渡すと逃げ場もないほど豪炎に囲まれており、絶体絶命の状況に陥っていた。

 

狼狽えながら逃げようとした瞬間、足元の孔からネズミの親子が現れオオクニヌシに孔に入るように誘い、絶体絶命だったが山火事をやり過ごすことができた・・・。

 

スサノオ様の非常で過酷な試練に抗議するスセリ姫に対しスサノオ様はオオクニヌシが死んだと告げるが絶対生きている、私はオオクニヌシを好いていると反論する。

バツが悪くなっていたところにオオクニヌシが飛矢を握りスサノオ様の目の前に現れる。そして無事に飛矢を見つけたこと告げる。

3日目の夜、オオクニヌシが強運の持ち主で協力を得る才能があることを見抜く。最後の試練として、スサノオ様は毛づくろいをしろと命じるが、髪の毛には百足がウヨウヨしておりオオクニヌシは躊躇する。しかし、スセリ姫がムクの実と赤土をそっとくれ、毛づくろいをする真似をしろと助言をくれた。さらに、飲物に睡眠薬を入れ眠らすことに成功する。その隙にオオクニヌシはスセリ姫と逃避行。背にスセリ姫を担ぎ、片手には「スサノオのイク太刀、イク弓矢、アメノノリ琴」を持ち猛然と逃げるが、琴が枝に引っ掛かり音が鳴ってしまう。その音で目覚めたスサノオ様は事態に気づき烈火のごとく追いかけ瞬く間に二人は追い付かれてしまった・・。

絶体絶命だと感じたオオクニヌシはスサノオ様と戦うことを覚悟したが、スサノオ様は大声で笑い始めオオクニヌシを褒めだし、

「そなたにはすっかりしてやられた。そなたなら我が娘を幸せにするだろう。嫁にくれてやる。娘を頼んだぞ。これはわしからの餞別だ・・。ただの剣ではない、これがあれば国の兄神たちにも勝てるだろう・・。オオクニヌシわしはそなたが目覚めるのを待っていた。そなたは国の主となれ!スセリ姫を妃とし出雲のウカ山の麓に立派な宮殿を構えよ。頑張るのだぞ!検討を祈る・・。」と言った。

オオクニヌシは嬉し泣きをするスセリ姫の手を取り偉大なスサノオ様に礼を言い、出雲の国へ歩を進めた。

 

スサノオ様という強力な後ろ盾と何度も命を救った信頼できる妻を得たオオクニヌシは、出雲王国の正当な王位継承者の証である三種の神器を携えスセリ姫を連れ満を持して出雲王国に凱旋した。その姿に出雲の民は畏敬の念と神位を感じる。

出雲王国初代大王スサノオ様以来、正当な王位継承者でも三種の神器を揃えたものは一切いなかった。その三種の神器に加え、スサノオの太刀という宝剣をも手に入れたオオクニヌシの実力は、次第に出雲の国のみならず近隣諸国にも知れ渡っていく・・・。

 

≪アカヤヒコとの決闘≫

オオクニヌシを迫害してきた兄神たちは帰郷したオオクニヌシのチカラに怯え始める。黒幕であったアカヤヒコは気が狂いそうな日々を送っていたが、遂に決闘の日を迎える。

アカヤヒコに助太刀しようとする兄神たちは長男のイワサカヒコに止められ見守る羽目に。打ち合いとなり試練を乗り越えたオオクニヌシに押されるアカヤヒコはとうとうオオクニヌシに負けてしまい出雲国から出ていくことになった。

こうして、第6代出雲国王となったオオクニヌシは、まだ見ぬ諸国の敵がいようとは知らず束の間の平和を楽しむ。

 

 

【解説】

≪大国主命の系譜など≫

『古事記』の記述をもとに、オオクニヌシ様が兄たちの迫害に遭い、2度も殺されながら、母神の援助で蘇り、アシハラノナカツ国の統率者への道を歩むところまでの≪青雲編≫を紹介。その中に有名な「稲葉の素兎」(因幡の白兎)や、正妻のスセリ姫と出会う黄泉の国編も登場。

≪建国編≫では、オオクニヌシが出雲地方に留まらず、越の国(北陸地方)や狗那の国(北九州地域)まで勢力を伸ばし諸国の同盟主として全盛期をいかに迎えるか紹介。その中に有名な『国造り』神話が登場。

アシハラノナカツ国は出雲王国だったのではないかと言われている。その国は部族同盟の盟主が治めた国だった。オオクニヌシ様はスサノオ様から6代目に当たる国王。試練を乗り越え譲ってもらう形で成ったと言われている。

オオクニヌシ様が日本最古の薬学神・動物医療の神と言われる所以はこの神話に拠る。この神話の背景には、アシハラノナカツ国を治めるに足る器かどうか試す試練として迫害や試練を乗り越えた設定となっていると考えられている。

世界各地で同系統の神話が確認されている。人の営みが神話化され陸と海を渡り伝播したかもしれないというロマンを神話は齎している。

 

≪再生譚の意味≫

兄たちの迫害を受け木の幹に挟まれ圧死したり、赤い猪のような焼石を抱かされ焼死したり、スサノオ様の壮大で過酷な試練で幾度も危機一髪な状況に追い込まれても、そのたびに復活を繰り返し乗り越えたオオクニヌシ様はヤガミ姫とスセリ姫と結ばれ、アシハラノナカツクニを治める力を付けます。

この背景には、大昔の日本では実力主義が主でありオオクニヌシ様の人物像を描写するにあたりそれなりのことを行ってきた人物であることを紹介したかった。また、白兎を助けた薬学の知識を有していたこと、自身も秘薬で再生したことは医術の管理者の一面を持っていたことを含ませたかったのではないかと言われている。古代において国の統治者になるための重要な条件の一つであるとも考えられている。

 

 

引用・・・『マンガで親しむ出雲神話②オオクニヌシ(青雲編)』(山陰中央新報社)

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